正眼直言

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カネで、執行猶予は買えますか?

 

 

  昨日、千葉大学医学部の学生による集団強姦事件の被告人に対し、懲役3年執行猶予5年の判決が下されました。(検察の求刑は懲役4年)

 

 犯罪白書によりますと強姦罪等の有罪者に対する判決は総じて厳しく、平成26年度では、懲役3年以下の執行猶予が付いた有罪人員の比率は、9.4%です。

 

 今回被告人が起こした女性に酒を飲ませて酩酊させて前後不覚になったところを集団で強姦して、しかもその行為をスマホに撮影するという悪質な犯行に執行猶予を付ける必要があったのでしょうか。(そもそも検察官の懲役4年という求刑自体が、軽いと感じます。)

 

テレビニュースによりますと判決理由の中で、被害弁償がなされ被害者と示談が成立していることなどを考慮して執行猶予が付いたとのことです。

 

実は、裁判官が、実刑に処するか執行猶予を付けるか判断する際には、被害弁償や示談が出来ているかは、とても重要なのです。

 

例えば10万円を盗んだ窃盗事件の被告人が、被害弁償も示談もできなければ、初犯でもない限り、実刑になる可能性はかなり高いです。

 

私には、今回の事件で被告人側が支払った弁償額が公表されていませんのでわかりませんが、かなりの金額であったろうなと思います。

 

窃盗のような金銭で損害賠償ができるような犯罪ならば、お金持ちの親がドラ息子のためにお金を支払うことで被害者は失ったお金が戻ってきたのですから、親が被告人(子供)に代わって償えることもあるしょう。

 

しかしながら、今回の犯罪は、親が被害者に対してお金を払えば損害を補てんできるというものではありませんし、お金の出どころも被告人本人ではないでしょう。

被告人本人が、何らかの償いをすべきだと思います。

 

親がお金持ちで被害者にお金を支払って示談できれば、かなり悪質な犯罪をした被告人でも執行猶予付きの判決が下され、

他方、被害者に弁償ができなければ、窃盗のような犯罪でも実刑に下される。このような刑事裁判のあり方は、どうなのでしょうか。

 

今回の判決は、「カネで、執行猶予は買えますか?」と問いたくなるような判決でした。